5.やんごとなきかたにも恋煩い

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 万結姫と小袖の中にかくれた小さな神さまは、今東宮さまのお部屋に案内された。  御所から調度を運んできたらしく、流行の黒漆の艶をわざと消した脇息や、高足灯台などが品良く並べられている。  古い……万結姫の父である大納言殿などであれば、貧相だと言いかねない調度品だが、流行の最先端なのは間違いない。こうして一室に集めてみれば艶の無い漆は、つやつやした表面よりも落ち着いた雰囲気で好ましいし、絵柄の無い、鈍色の几帳だってよく見れば銀糸の飾り紐で品良くまとめている。    つまり、この部屋は今東宮様のお気に入りで装飾されているのだ。    今東宮様は、満足そうに部屋を眺めて、そして几帳の後ろに座った万結姫と千寿丸に軽く会釈をした。
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