5.やんごとなきかたにも恋煩い

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「大納言殿のご息女。千寿丸は、陰日向無く、良く励んでおりますぞ」 几帳には隙間が作ってある。そこから相手をのぞけるようになっているのだ。 万結姫がその隙間から今東宮様のお姿を盗み見した。 当代きっての美男子と名高いお方だ。しっかり見ておいて、あとで屋敷の女房達に自慢しよう。大きな屋敷の奥深くに住み込みで働く、若い女房達は、美男子が大好物だ。 彼女たちの雑談に、華やかな話題を提供できるのは、なかなか気分が良さそうだった。 顔はおしろいを塗っているらしくて、ますまず平均的な色白。これ以上白く塗られたら、表情もなにかも塗り潰すことになるから怖くなってしまう。
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