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万結姫が投げた香袋は、大きく開けた蛇の口にかぱっとはまり、蛇は大きな体を岩に打ち付けながら苦しみはじめた。
小さな神様は、その蛇にむかってあっかんべーをして、からかっている。
その、のんきな姿を見て、万結姫はいらっとした。
たった今、蛇に飲み込まれそうになっていたというのに。
安全だと分ったらこの態度。
危機感が皆無では無いか。
「ばかっ。何やってるのよっ。あんたなんて、この蛇に鼠みたいに頭から飲み込まれちゃうんだからねっ。逃げなさいよっ」
片手で神さまの体を掴んで小袖の中に突っ込んだ。
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