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4.千寿丸は美形でした。
「お姉様。千寿丸でございます」
稚児輪に結った髪が艶々としている。
水干の丈が短めなのも、巷で流行の歌舞伎踊りの衣装のようでなかなか似合っている。
声変わり前の高い少年の声は、御簾うちの若者にも届いたようだった。
「千寿丸。そちらは大納言家の姉君なのか?」
涼やかな声。万結姫の胸がぎゅっと締め付けられた。
「はい、東宮さま。姉とここで会えるなんて…早くも仏の功徳がありました。」
弟とか思ったことはなかったけど、お姉様と呼ばれるのは気分が良い。
しかも、あの美形の若者は弟の雇い主。
今東宮さま!
仏様でも、神さまでもいい。
ありがとう!
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