14人が本棚に入れています
本棚に追加
青山省吾、36歳。
某施設で栄養士兼調理師として働いていたが、この度失業した。
ブラック過ぎて体が悲鳴をあげたのだ。
失業保険とわずかな貯金で食いつないでいる。
家は亡くなった祖父母が住んでいた物で、家賃はかからない。
両親の名義になっているので、税金も両親が払っている。
従って、俺はお袋の言葉には逆らえないのだろう。
若い男女が同居するというのも、嫁にする予定ならば問題では無い。
いや、まあ、もう若くは無いが。
「で、失礼だけど何歳なの?」
彼女も若くは無い。
「38歳です。」
年上かよ。
嫁候補って、マジで勘弁して欲しい。
別に若い方が良いなんて贅沢は言わないが子供は望めないだろう?
高齢出産が何歳からなのかは知らないが、40歳前後で、ダイナミックボディで、しかも病気持ち。
リスクが大き過ぎる。
「で、何の病気?」
「糖尿病と言われました。」
あー、まあ、見た目的に想像した通りの診断でしたな。
俺、医者でもなんでもないんですけど?
ただの栄養士なんですが?
「一日1500キロカロリーにするよう言われました。
ご指導、ご協力、お願いします。」
あー、三つ指ついて土下座されてもなぁ。
『無職なんだから頑張りなさい』
お袋の文面が俺を脅迫していた。
最初のコメントを投稿しよう!