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「渡辺大地、15歳……。若いな、事故か病気か……」
彼の住んでいた街は、どうやら隣街らしい。みゆきは自室からペンケースと未使用の小さなノートを持ってくると、シャーペンを走らせる。
“渡辺大地、会社員と専業主婦の間に産まれる。小さい頃から活発な子で、サッカー少年。成長するにつれ美少年になり、女子にモテる爽やかな好少年に。勉強は平均より少しできて、体育の授業では注目の的。
中学生になるとサッカー部に入り、1年にしてレギュラー入り。青春ドラマの様な日々を過ごし、中学3年生に。ここら辺では名の知れたT高校に受験予定だった。可愛い文系の同級生に告白され、返事をする前に不慮の事故で他界。過度な労働によるトラック運転手の居眠り運転が原因。”
みゆきは名前のイメージからざっとプロットを書くと、簡単な朝食を作った。
時間になると“お悔やみ小説”のプロットをまとめたノートをカバンに忍ばせ、車に乗って職場へ向かう。仕事中、みゆきは隣街のどこで盗み聞き……もとい、情報収集をしようかと考えていた。
みゆきが仕事を終えたのは、5時45分のこと。彼女は軽い足取りで職場から出ると、隣街へ車を走らせる。
隣街のショッピングモールに着いたのは、6時過ぎ。ちょうど部活終わりと思われる学生達が、たくさんいた。みゆきは少しお高いが、無料トッピングが豊富なことで有名なカフェに入る。
「いらっしゃいませ、ご注文おうかがいいたします」
レジに並ぶと、笑顔が眩しい女性店員がハキハキと接客をしてくれる。
「えーと、……アイスカフェラテの1番小さいのと、チョコチップスコーンをひとつで……」
みゆきは見慣れないドリンク名とサイズ表記に目眩を覚えながらも、見知ったカフェラテを見つけてなんとか注文する。
「アイスカフェラテのショートおひとつとチョコチップスコーンですね」
女性店員は相変わらず眩しい笑顔で、サイズ名を訂正しながらオーダーを繰り返す。
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