第3章

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…5度目の転校新しい出会い… 4年生の時働き詰めだった母が体も調子を崩し祖父母のいる神奈川へ戻りました。 新しい学校では幸いトラブルもなく友達にも恵まれ学校に通える日も増えました。 家の近くには里親活動をしている人がいて一時預かりもしてくれていたので私や弟はよくそこに預けられるようになりました。 東京にいた時児童相談所に預けらた事があったのですがそこは外に出れず厳しいルールがありとても大変な所でした。 それに対し里親さんの家では地元の学校に通い放課後遊びに行ったり休日お出かけをしたりすることができました。 家も一軒家で夫婦とおじいちゃん、サポートをする女性の、大人は4人と里子の子供が6人、私達のように預かりの子が多くても3人とアットホームな環境でした。 里親さんと出会えたことは母の負担も私達の負担も少なくなり今でも感謝しています。 …死なないで… 4年生の終わり頃、早朝弟に起こされリビングに連れていかれました。 リビングに行くと母が棚に背中を預け座っていました。声をかけても返答がないので肩を叩いてみました。 母は肩を叩いた振動でぐらりとバランスを崩し倒れてしまいました。 私はとても怖くなり母に声をかけながら手を握りました。その手はとても冷たく顔は青白くなり一見すると死んでいるかと思う程でした。 慌てて胸に耳をあてると微かにゆっくりと 「とくん」 と言う音が聞こえ生きていると安堵しました。 しかしとても弱くゆっくりした心音にただ事ではないと家の電話から119番に通報しました。 救急車が来る間母に声をかけ続け手を握りました。 手はますます冷たくなり氷のようで腕を曲げようとすると不自然に固く動かしづらく、このまま目を覚まさないのではという不安が押し寄せてきました。 救急隊の方が来て母をすぐ運んでいき、誰か大人の連絡先を教えてと言われ学校に持っていく緊急連絡先のプリントから祖母の携帯番号を見つけ渡しました。
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