盗賊団

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盗賊団

 迫る刃を余裕を持ってかわす。  粗末な剣を振るってきた男のがら空きの左脇に、素早く遠心力を加えた拳打を打ち込み、めり込ませる。鎧も着ていない男は内臓まで突き抜ける衝撃と激痛に白目を剥き、私の手には肋骨の折れた感触が伝わる。  これでもうこの男は立ち上がることすらできないでしょう。  さらに別の男が迫る。顔には盗賊としての意地か、男のプライドか。怒りに任せ叫び声を上げながら突っ込んでくる。その動きは直線的で読みやすい。  私は一歩踏み込みながら、その男が右手に持った棍棒を振り下ろすよりも早く、顔面にカウンターをお見舞いする。男の目に私の右拳が見えただろうか。盗賊の男は身じろぎ一つできず、私の拳打を顔面で受け入れた。  籠手を装着した拳は容易に鼻骨を砕き、意識を断つ。  残りは一人。盗賊団の首領らしき男のみとなった。 「くそっ! なんなんだてめぇらは!!」 「あなた方を討伐に来たエルメルト騎士団です。名乗った筈ですが」 「たった三人の騎士団なんて聞いたことねぇ!」 「そうでしょうね、他にあまり例がありません。しかし、公式に騎士団と認められ紋章もあります」     
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