第2章  春に眠る命のかたまり

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 特に休日は、朝から夕方四時頃まで本を読んだり、高校の課題を解きながら、時間を持て余していた。  クラスメイト達から休日に遊びの誘いを受けることがあり、それをすべて断ってきた。  三ヶ月の空白の時間。桜は眠り続けながらどんな夢を見ているのだろうか? 目を覚ました時、どんな反応を示すのだろうか。いろんなことが頭に浮かび、俺自身、不安になってくるのだ。  病院にたどり着くと、駐輪場に自転車を止め、受付で、自分の名前を記入し終えると、来客用の名札をもらい、それを首にかけてから『羽咲桜』と書かれてある個人の病室に向かう。  桜の部屋は、病院の特別棟の三階にあり、特別棟には、いろんな事情を持った入院患者がいる。  当初は、普通の入院患者と変わらない病室に入院することになっていたが、医師の判断により、トラブルなどを避けたいと、提案され、この特別棟に移動したのだ。だから、この来客用の名札がいる。  今までにいろんな人がお見舞いに来てくれたが、今になっては俺と、時々、颯太(そうた)小泉(こいずみ)暦姉(こよみねえ)しか来ない。
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