日記

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 2月下旬。突然、小此鬼山(おこのぎさん)高校から、合格通知が来た。  小此鬼山高校。そこは超が付くほど有名にも関わらず、誰もその実体を知らない、謎多き都市伝説のような学校だ。どこかの山奥にあるらしく、全寮制で自由な外出が出来ないどころか、3年間自宅に帰ることも許されないという、まるで監獄のような学校との噂だ。だけど、その一方で小此鬼山高校は超が付くほどのエリートしか入学を許されず、独自の入学試験を行い、その超難しい試験に合格した者だけが入学を許される、超エリート校だという噂もあった。  にも関わらず、平々凡々の私が、何故かその超難関校に合格した。  と言うか、そもそも私はその入学試験を受けていない。地元の高校に通う予定で受験して、合格(すると信じている!)発表を待つばかりの時期に、突然通知が来た。何かの間違いだろうと思った母は、すぐに小此鬼山高校に連絡した。「間違いではございません。一度、本校をご見学して頂いた上で、ご検討していただけましたら…」と、丁寧に説明されたらしい。しかも、学校見学に伴う交通費、宿泊費も全て出してくれるという大盤振る舞いだったので、私は旅行気分で母と二人で見学に行った。  そして、私は無事合格した地元の高校を蹴って、この小此鬼山高校への入学を決めたのだった。
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