日記

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4月1日  今日は入寮日。同じ1年生らしき人達と帰省していたらしい先輩達と一緒に、駅から送迎バスに乗った。帰省していた人がいるということは、3年間自宅に帰ることも許されないという噂はデマだと分かって安心した。  1時間ほどバスに揺られて到着した、高級ホテルのような大きな学生寮。1階は、食堂や遊戯室などの共同スペース。2階から4階が、生徒の部屋だと説明してくれた。全室同じ仕様の個室で、空いている部屋を自由に選んでいいという。私はバスで意気投合した新しい友達、浅野カンナちゃんと井上姫沙ちゃんと相談して、3室並んで空いていた4階の部屋に入ることにした。  慣れない寮生活、知らない土地で不安だらけだった私達に、入学式の5日までは寮の生活に慣れることを最優先にすればいいと、優しい先輩が言ってくれた。他の先輩達もみんな優しそうで、安心した。  そして、今日から日記を書くことにした。備え付けのパソコンを使うのではなく、持って来たノートに。  謎だらけの小此鬼山高校は、極端な秘密主義のところがあった。学校内での出来事を部外者に知らせることを良しとしない。ツイッターやフェイスブックなどのSNSは全面禁止。ネットや電話ですら、決まった場所でしか繋がらなかった。「慣れれば不自由なことないよ」と先輩達は笑っていたが、私はその極端な秘密主義に、少しの不安と不満を感じた。  だから、私は日記を書くことにした。今日から卒業の日まで、毎日じゃなくてもここでの出来事を記録していこうと思う。そして卒業後、この日記帳が謎だらけの小此鬼山高校の秘密を暴く事になるのかもしれないと、密かに思っている。笑。
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