第二章

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ベッドに横たわる清藤は壁に背を向け、入れと言わんばかりに掛け布団を剥ぎ微笑んでいる。その横たわる姿がまたなんとも妖艶な色気を放っていた。  学生時代の貯めていたバイト代でこのベッドを買った。大きな物を一人で買うことがどこか大人になったようで嬉しかった。寝室をほぼ占領しているこのベッドは彼女が泊まりにきても充分過ぎるくらいの広さのものにしたのを思い出す。 結局彼女がここに泊まったのは数えるほどだったが。  身体を滑り込ませ清藤と向かい合う。顔に掛かる髪を梳き流すように耳元に収めていく清藤をくすぐったくなる気持ちを抑え見つめた。 「それで?聞きたいことってなんだ?」  身体の下敷きになっていた左腕を引き上げ自分の頭の下に敷く。所謂、腕枕というやつだ。嬉しそうにいい位置を探しながら清藤は真田と向き合う。 「俺の冷めた顔ってなんのことです?」  自分で言ったくせに考えるそぶりを見せ、瞳をゆっくり閉じ、そして真っ直ぐに見つめ直す。その一連の仕草は色っぽく無意識にしているのなら、大変なことだと何故かその腰を引き寄せた。何処かの誰かにいいように勘違いさせていたらと苛立ちと不安が押し寄せる。     
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