第一章

1/29
前へ
/231ページ
次へ

第一章

昼休憩の屋外スモーキングルーム。 快晴の青空の下、紫煙を吐きながら空を見上げる一人の男。その立ち姿でさえ凛として、細身の身体に上質なスーツが何処かのポストカードのようだと屋内の騒がしさとは違い過ぎるその光景、その容姿に見惚れていた。 八洸物産株式会社 営業企画部。 そこには社内一のキレ者と噂される清藤 友海(キヨフジ トモミ)がいる。 それは八洸で働いている者なら知らない奴はいない。 高身長、高学歴、高収入…そんな謳い文句のように流行った言葉がぴったりと嵌る。おまけに容姿端麗をも備えていた。 奥二重の切れ長の目。目ヂカラの圧力と言えばこの人の右に出る人はいない。 そんな彼はキラキラと光る太陽の光に目を細めながら、フェンスに肘を付き、空を見上げていた。 「元希、どうしたの?」 猫撫で声で指先に髪を巻き付け、俺を見上げるこの女とはそろそろ終わり。 髪を撫でてやりながら真田の視線はその先の屋外の清藤へと向いていた。 第一営業部の真田 元希(サナダ モトキ)はその絵になる光景を見入っていた。 (いつ見ても綺麗な人だな……)     
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1519人が本棚に入れています
本棚に追加