第二章

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 誰にも親しい友人にさえ、別れた理由を話したことはない。口が裂けても言いたくなかった。寝取られた惨めな自分を晒したくはなかった。同情されることは何も過失がない自分のプライドが許さなかった。  ありのままを全部。清藤に話した方がいいのか考えはまとまらなかった。  風呂場で考え込むより、一分でも清藤のそばにいたい。こうやって一晩一緒にいられることを優先させたい。  聞かれれば答えよう。嘘だけは言わないと心に決め風呂場を後にした。
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