マドンナなんかじゃ無い

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山岸の姿は、ホテルのロビーから消えていた。 もう私は、マドンナなんかじゃ無い・・・それでいい・・・私は、思ったように生きる。貴方の思うような、そんな純真な人間なんかじゃ無い。 「雅ちゃん?」 ソファに座る私に、男の声が掛けられた。 私はそちらを振り向く。 そこには、中年の男性が、ニッコリ笑って私を見つめていた。 私も、笑顔を返す。 「芝さん、お久しぶりです。今日は、ありがとうございます。」 「また、うちの雑誌に出て欲しいなぁ。」 「もちろん、よろしくお願いします。」 「じゃあ、行こうか?」 「はい。」 芝は、雅をホテルのエレベーターの前に連れて行った。 雅は、肩を抱かれる。それでも、雅は嫌な気持ちはしなかった。 芝に対して、好意とも取れる気持ちを抱いていた。 実際、芝は紳士的だった。雅を、紳士的にもてなした。 「あ、雅ちゃん、お腹空いてない?部屋で、ルームサービスでも頼もうか?」 エレベーターの中で、芝は雅に話しかける。 「いえ。お腹は空いてませんので大丈夫です。」 「そう?遠慮しないでね。」 「はい、ありがとうございます。」 芝の手は雅の肩から離れなかった。
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