9人が本棚に入れています
本棚に追加
山岸の姿は、ホテルのロビーから消えていた。
もう私は、マドンナなんかじゃ無い・・・それでいい・・・私は、思ったように生きる。貴方の思うような、そんな純真な人間なんかじゃ無い。
「雅ちゃん?」
ソファに座る私に、男の声が掛けられた。
私はそちらを振り向く。
そこには、中年の男性が、ニッコリ笑って私を見つめていた。
私も、笑顔を返す。
「芝さん、お久しぶりです。今日は、ありがとうございます。」
「また、うちの雑誌に出て欲しいなぁ。」
「もちろん、よろしくお願いします。」
「じゃあ、行こうか?」
「はい。」
芝は、雅をホテルのエレベーターの前に連れて行った。
雅は、肩を抱かれる。それでも、雅は嫌な気持ちはしなかった。
芝に対して、好意とも取れる気持ちを抱いていた。
実際、芝は紳士的だった。雅を、紳士的にもてなした。
「あ、雅ちゃん、お腹空いてない?部屋で、ルームサービスでも頼もうか?」
エレベーターの中で、芝は雅に話しかける。
「いえ。お腹は空いてませんので大丈夫です。」
「そう?遠慮しないでね。」
「はい、ありがとうございます。」
芝の手は雅の肩から離れなかった。
最初のコメントを投稿しよう!