マドンナなんかじゃ無い

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芝は、クスッと笑った。雅は恐怖の瞳でそれを見つめる。 「いいの?僕も無理強いはしたくないし。これで、仕事の話も無くなるよ。それでも、いいんだよね?」 「は、はい・・・私、間違ってました・・・こんなことで、仕事を得ようなんて・・・」 「そういう輩も、少なくは無いよ?でも・・・君はきっと、自力で上がってくる気がする。頑張ってね。」 芝はそう言うと、部屋を出て行った。芝は、いい人だった。勿体なかったかもしれない。外見もイケメンだし・・・いや、そういうことが問題なんじゃ無い。雅が、自分の体を使って仕事を取ろうとした、そのことに意味がある。 私は、こんなことしなくても、仕事を勝ち取ってみせる。 雅は誓った。 そうすると、何故だか、山岸の顔が思い浮かんだ。高校から一緒の、仕事仲間。山岸・・・今、とっても貴方に会いたいよ・・・ 雅がホテルのロビーを歩いていると、見慣れた顔を、見つけた。山岸だった。 「山岸!!」 「雅!!」 二人は、抱き合っていた。ぎゅうと、強く、抱き締め合っていた。 「大丈夫か?」 「うん・・・私、馬鹿だった。あんたの言うことを素直に聞いてればよかった。」 雅は山岸と向かい合った。地味で雅の好みじゃ無い顔。でも、今はとてもとても愛おしく感じた。 二人は、ホテルのロビーでキスを交わし合った。 ああ、私、この人のことが好きなんだ・・・雅が初めて感じた感情だった。
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