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山岸は、事務所から退職を言い渡された。理由は、山岸が、事務所の売り物に手を付けていたからだった。
それは、雅にはショックな出来事だった。
私以外の人に、手を出していたの?なんで・・・山岸・・・
雅には、中々信じられないことだった。山岸は、言い訳をしなかった。その相手というのが、雅の後輩で今売りに売れているモデルの本條美奈(18)だった。美奈は、山岸に傷付けられた、と事務所の社長に直談判した。体を奪われたと・・・騙されていたと・・・
「君の撮る写真、好きだったんだがね・・・事務所の子とスキャンダルを起こされては困る。申し訳無いけど、辞めて貰うよ。」
社長から、直々の言葉。
山岸は、何の言葉も発せず、コクリと頭を下げて、事務所を出て行った。
雅は、山岸を追った。どうしても、信じられなかった。あの山岸がそんなことを・・・
事務所のエレベーターの前で山岸に追いついた。雅は叫ぶように問うていた。
「嘘でしょ?山岸・・・あんなの、嘘なんでしょう?」
「俺が嘘って言ったところで、美奈の言うことには勝てやしない。大丈夫だよ、俺は。これに懲りずに、他の事務所当たってみるから。」
「やっぱり・・・山岸が辞める必要なんて無い!!私が社長に言ってあげるから!!」
「止めてくれ!!雅にまで迷惑を掛けたく無いんだ。俺は大丈夫だから。」
そう言って、止まったエレベーターに乗って、山岸は去った。雅はその場にしゃがみ込んだ。
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