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「なぁんか元気無いねぇ、雅ちゃん。」
カシャカシャと写真を撮りながら、そのカメラマンが雅に声を掛ける。
そうかも・・・私は今元気を出す力が無いのかも・・・それはやっぱり、山岸が私の前から姿を消したことに原因がある。
「ほら、思いっきり笑って!!笑ったらきっといいことがあるよ!!」
カメラマンはそう言って、雅を鼓舞した。
雅は、その言葉に、思いっきりの笑顔を見せた。どんなことがあっても、私は笑って居なければ・・・それがモデルってモンでしょう。
でも・・・どこへ行ったの?山岸・・・
雅は、山岸に気持ちを馳せる。違う事務所に行くと言っていた。やはり撮影は上の空になる。
「はい、オッケー。次は葉月ちゃん!!」
葉月は雅を見つめていた。遠い目をする雅のことを・・・
そして、何かを感じ取っていた。その何かを、葉月は勘づいていた。
「雅、仕事が終わったら、話があるから。待ってて。」
葉月はそう言って、カメラマンの前に立った。
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