迷走

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いつだって近くに居た。 近くに居たのに、何故いつも一緒に居なかった? 山岸は、どこか遠くへ行ってしまった・・・ 行って、もう、戻らない・・・ 「雅?・・・」 撮影を終えた葉月が雅の涙に気付いた。 何もかもを知っているような葉月の表情は、雅が見慣れた自身満々な笑顔じゃなかった。 雅の瞳から涙が溢れ出る。 もういいって・・・もう要らないって思ってたのに・・・ なんで人間ってこんなにも贅沢なんだろう?・・・ 「雅。行くよ。あんたの行きたいところ。」 衣装から着替えた葉月が、泣きそうな顔をして雅の手を引っ張った。 「お疲れ〜二人とも!!気をつけて帰るんだよ!!」 あのカメラマンが叫んでいた。 雅は葉月に引き摺られるようにして、事務所を出て行った。
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