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雅はその部屋から走って出て行った。
「雅!!」
呆気に取られて、その姿を見送る山岸。
葉月は、あ〜あ、と溜息をついている。
「早く、後を追いなさいよ。」
「え・・・・っ・・・・・」
「早く!!雅を誰かに取られてもいいの?!」
「っ・・・・・・!!」
山岸は、眠っていただらしのない格好のまま、部屋を出た。
階段を駆け下りる。
雅・・・雅・・・行かないでくれ・・・・・・
ビルの外に出ると、雅の後ろ姿を追った。
居ない・・・いや、まだ遠くまでは行ってないはず。
山岸は、一か八かで、通りを走り出した。
雅・・・こっちに居てくれ・・・・・・っ・・・
でも・・・雅を捕まえて、それで、何て言う?
俺のこと、好きだって言ってくれた雅に・・・俺も好きなのに・・・なのにこんなことになってる・・・なんて言えばいい?・・・
俺を捜して見つけてくれた雅・・・・・・
でも俺は仕事を干された。まだ、見つかっていない。新しい仕事。
こんな状態で雅に会っても・・・
山岸は、ハァハァと息づきながら、足を止めた。
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