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あれから山岸がどうなったのかは、知らない。
そういう情報の一つも、入って来ない。
ただ、自分を安売りするわけでも無く、自分を一番魅力的にする方法は、分かった気がする。
「雅、今日、映画の読み合わせがあるんだけど、大丈夫?」
マネージャーが、明るい声で、雅に問いただす。
「はい、大丈夫です!!」
雅も、明るい声を返す。今までお世話になってきた分、少しでも返さなければ・・・マネージャーにも・・・
ただ、葉月の瞳の強さには、痛いほどの痛みを感じる。
葉月はまだ、雅のことが好きだった。
葉月は相変わらず、雑誌の巻頭を飾っていた。モデルの頂点に、彼女は居た。
「雅、今日、仕事が終わった後、時間取れる?」
葉月からの雅への言葉・・・雅はそれにおざなりには出来ない。葉月の助言があったからこそ、こちらの道に来れたのだから。
「うん、久しぶりに一緒に飲もうよ。いつもの店でいい?」
「今日は、あたしの家に来て、お酒は揃ってるから。」
「・・・うん、分かった・・・」
雅は、葉月の気持ちを知っていたから、少しだけ、戸惑いを見せた。
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