マドンナだと思ってた

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高校卒業の時。 先生から、一人一人に、クラスの皆が書いた寄せ書きを渡した。 雅に渡された寄せ書きを読むと・・・ 美人美人美人美人・・・の連ね書き、そして、クラスの皆からの賛辞。 雅は美しいから、ちゃんと男の人、選びましょうね。 上品ぶってるけど、ホントは変なヤツなのです、なんてね、私達キレイでホント困っちゃう。 その中に、山岸の寄せ書きがあった。 1年の時からずっと好きでした。ずっと、可愛い人で居てください。 雅は思った。 ごめんなさい。写真、撮らせてあげればよかった・・・と。 私は、可愛い人だったの?どこが?自分では分からない。 雅が進む進路も、クラスの皆には、憧れの的だった。 雅は、モデル事務所に、就職が決まっていた。 それが、廊下に張り出される。 すごいね・・・あの子・・・モデル事務所だって・・・キレイだもんね・・・ 皆が、雅のことを噂した。 でも雅は、一人冷めて居た。 高校時代、誰とも恋愛もせず、ただただ一所懸命に生きて来た。モデルになる為に、色んな努力もしてきた。 自分のことで、精一杯だった。 だから・・・山岸からの写真の依頼も、断った。 だって・・・売れたら、その写真、どうするつもりなんだろう、って、思うじゃ無い。 でも、雅は、売れなかった。 雑誌の、隅っこに、自分の写真が載る。 それだけが、雅の気持ちを鼓舞していた。 でも・・・あの時の山岸が、カメラマンとして自分を撮る。 どうしても、あの頃に、記憶は帰って行く・・・
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