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雅は、自分が酒に強いことを知った。
翌日の朝、普通に起きられたからだ。普通は二日酔いになるであろう量の酒を飲んだのだから。
「なんで普通の状態なんだろ?私・・・酔って現場に行きたかったのに。」
酔わなければ、行けないと思っていた。自分にだって、出来る仕事と出来ない仕事があると思っていた。全裸を見せるなんて・・・それもスタジオで・・・カメラに撮られて・・・大勢の目に晒されるなんて・・・
それでも、這ってでも、現場に行かなければならなかった。
それは雅にとって、それほどまでに、大切な仕事だったから。自分がこれから芸能界でやっていく為には、これしか無いと思ったからだ。
朝食は、食べられなかった。
せめてもと、牛乳だけを頑張って飲んだ。何も胃に入れないのは良くないと思ったからだ。
でも、固形物は食べる気になれなかった。
憂鬱にも、外は雨。窓に流れる雨の滴を、雅は溜息と共に見つめた。
「ピンポーン」
マネージャーが家に着いたようだ。
「行かなきゃ・・・」
雅は重い腰を上げた。
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