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「どうしてここが分かったの?誰に聞いたの?」
雅は、腕を引かれながらも、山岸に問いただしていた。もう・・・邪魔をしないで欲しい・・・
「葉月が、教えてくれた。自分は、まだ仕事があるから行けないから、雅のことを守ってくれって。葉月の気持ち、気付いてるんでしょ?もっと葉月のことを考えてあげなよ。」
葉月・・・恵まれた葉月・・・私のようなこんな思いは、したことが無いンだろうな。
葉月の言うことをそのまま鵜呑みにして、私の元に来るなんて、やっぱり山岸は怪しい。私のこと、まだマドンナだと思ってるんじゃ無いの?
「私は葉月とは違う。こうでもしないと、仕事が貰えないの。だからお願い、私を自由にして。お願い、山岸。」
山岸の足は止まらない。早くここから出よう、それしか考えて無い。雅は、腕を振り絞って、山岸から逃れた。
「お願いだから!!山岸、私のこと、もう諦めて!!」
「何を言ってるの?俺、もう、雅のことをマドンナだなんて思っても居ないよ。ただ、同級生が心配だから、だからこうして・・・葉月の気持ちだって、踏みにじっていいモンじゃないだろ?」
「葉月には、私から後でなんとでも言い訳するから。だから、私の機会を潰さないで!!」
雅は、山岸から逃れ、ホテルのロビーに舞い戻った。これから何をされるのか知って居る。それでも、元同級生の山岸には、こんな姿見せたくなかった。雅のことをマドンナだと思ってたあの頃の山岸・・・雅の心はあの頃へと帰って行く。望んでも居ないのに・・・山岸と一緒に居ると、いつもそうだ。そうだった。
この業界で初めて山岸に会った時、雅は驚いた、心底。
もしかしたら、山岸は雅を追ってきたのでは?そうも思った。でも、山岸は一向に雅に気持ちを伝えなかった。
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