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遊戯
放課後、教室の景色に男は強い欲求を抱く。
羨ましい……。
そこにいる生徒達は共に談笑をしていたり、カードゲームをやっていたりするのだ。
男はボッチ。それが男のステイタス。またしても言おう、ゴットボッチである。
男は人と共に笑い合った経験は、全くないのだ。
しかし周りの人達はそれを、毎日当たり前のようにしている。
己はただ紙に描かれている女の子やら、ディスプレイに映っている女の子を眺めて、ニヤけるだけの日々……。
確かにそんな時間も好きだ。しかし他人とも、時間を共有したくて堪らないのだ。
神社へ行って願ったこともある。効果は全くなかった。
男は思う。それは自分の行動力が足りないからだと。
それ以前の問題であるが、男は己を客観的に見れないからそう思うのである。
だからゴットボッチの称号を得たと言っても、過言ではない。
男は何もわかっていない。感性が鈍い、鈍感、頭を使わなくても読める本ばかり、欲の赴くまま読んでいるからだ。
お前は萌えコンテンツのハーレム主人公に自己投影して、ブヒブヒ言って搾取されているだけだ。ノータリン。
そんなゴットボッチだが考える。
勇気を出して声をかければいいんだと。
男は周りを見てカードゲームをやっている、大人しめの男子達四人を凝視する。
楽しそうだな……。
カードゲームなら会話よりも、コミュ力がなくても楽しめるはずだ。だから自分にも敷居が低いはず。
そう思った。
そして席を立って、それをやっている男子達の所へ向かう。
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