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世界には富裕層がある。
富と権力に相応しい力を持つ者こそが、全てを手に入れる事ができる。
それがこの異教都市クォーツ。
そうして出来た世界で純血種は血統を重んじ交配を繰り返し
そうでない者は最下層で生きる人種となった。
僕は最下層の住人で、純血種など見た事がない。
否、1度だけ…見た事が…
いいや、よそう。
僕は生まれて死ぬまでこの最下層ローグで働いて生きて行かなくちゃいけない。
それが、僕の運命で僕の生きる理由なんだから。
医者「君はどうやら…変異種だよ」
幸「え……?」
医者「もう三ヶ月もこの体温なんだよね?
それに血液検査、これなんだけどね。
この抗体は基本的に純血種の…一部の人間にしか出ない。
君の年から考えても、変異の期間に入っているのだろう。」
幸「……治るんです、よね…?」
医者「いや、変異種への変異の兆候が現れてしまっているからね…
すまないが、役所へ連絡させてもらうよ。
……これは義務なんだ。
悪い様にはしないから君も今日は帰って家で休むといい…」
医者は僕の肩に、ぽんと手を置くと僕はゆっくり椅子から立ち上がりお辞儀をした。
診察室を出ると同時にマスクをして受付で会計を済ませると
僕は足早に病院を出た。
微熱が続くと感じていたから、あの病院に行ったけど変異種だと言われるなんて。
クォーツでは下層に住む人間が稀に変異種となる事がある。
変異種とは血統を重んじる純血種と番う事ができるかも知れない存在。
適性があればの話だけど。
純血種は富裕層ばかりだから、下層の人間の血を酷く嫌う。
変異種になればそうでなくなると聞いたけど、今はバイトに行かなきゃ…。
首に巻いた白いマフラーにキュッと口元を埋める様にする小さく息を吐く。
3月だというのに、まだ寒い。
スマフォのラインの通知音がした。
おとうさん
風邪大丈夫だった?
大丈夫、と他愛ない返事をしてやり取りをする。
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