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『代わりに俺の願いを叶えろ』
それは力強く、恐ろしくて、だけどどこか優しさが感じられた。
だからなのか、マオはその声に答えてしまう。
『こいつを壊せ!』
マオは転がっていたロザリオを掴む。
大きく振り上げ、力いっぱいに叩きつける。
途端に銀色に輝くロザリオは、大きな音を立てて砕け散った。
「ガハハハハハッッッ!」
真っ黒な光、いや深い深い闇が銀色のロザリオから溢れ出てきた。
それは不気味であり、ひどく淀んでおり、恐ろしかった。
そんな闇から現れたもの。真っ赤な目に、真っ黒な身体、そしてコウモリのようなとても恐ろしい大きな翼を持っていた。
「ついに、ついに封印が解けたぞォォ!」
それは、叫ぶように歓喜の声を上げる
下品な笑い声が木霊する中、それを見た奇妙なスライムは震えていた。
「オォ、なんと言うことダ」
それは、奇妙なスライムにとって待ち望んだ瞬間だった。
力いっぱいに広がる禍々しい翼。
血よりも深い赤で染まった輝く目。
そして、心から崇拝する名前しか知らない王が目の前で復活した。
ゆえに奇妙なスライムは歓喜のあまりに震え上がる。
「なんだよ、これ」
突然現れた黒い何か。それにルルクは身体を震わせていた。
あまりの恐ろしさに、ルルクは動くことができない。
奇妙なスライムはそんなルルクの身体に絡みつく。叫び声を上げるルルクを笑いながら、奇妙なスライムは黒い何かに叫んだ。
「王ヨ、悪魔の王サタンサマ! ワタシはあなたのタメに、贄を用意シタ! どうか、ドウカこの贄をお納めクダサイ!」
奇妙なスライムは眠っているミーシャと、捕まえたルルクを差し出そうとする。
ゆっくりと振り返る悪魔の王と呼ばれた存在。奇妙なスライムを見た瞬間、それは震え上がるような笑みを浮かべた。
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