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「オォオオォォォオオオォォォォォッッッ!!!」
床を、壁を、石像を壊し暴れる。だが光は消えるどころか、さらに強くなっていった。
お腹から放たれる輝きはいつしか全身を包み込み、飲み込んでいく。
そして、断末魔と共に悪魔の王の身体は弾け飛んでいった。
ルルクは何が起きたかわからないまま、まっすぐと見つめる。雪のように舞い落ちる光の中から、見覚えのある一つの姿があった。
「――マオ」
ゆっくりと、マオの身体が降り立つ。だが足が地面に着いた瞬間、崩れ落ちるように力なく倒れてしまった。
ルルクは思わず駆け寄る。そしてその身体を優しく抱き起こし、何度もマオの名前を大きな声で呼んだ。
「ルル、ク?」
まぶたが僅かに揺れた後、目が開かれる。ルルクは目を覚ましたマオに、安心したのかグズグズと泣いていた。
「よかった、よかったよ」
マオを優しく抱きしめるルルク。そんなルルクの行動が嬉しくて、マオは弱々しく笑った。
光の雪が舞い散る中、大きな声で泣きながら喜ぶルルク、マオはちょっと困った顔をしつつも、嬉しそうに身体を預けていた。
しかし、そんな二人を邪魔するかのように一つの声が響き渡る。
『うるせぇな』
それは覚えのある声だった。マオとルルクはまさかと思い、周囲を見渡す。だがどんなに探してもそれらしき姿はなかった。
『ったく、うるさすぎて死んでいられねぇじゃねーか』
ゆっくりと、それは動く。それを目にしたルルクは青ざめた顔をしていた。
マオは不思議に思いながら後ろを見る。するとそこには、真っ赤な目を持った影が立っていた。
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