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『クソがっ! 俺は、俺は! こんな別れなんて――』
言いたいことがたくさんある。だが全て言い切るなんてできない。
何を言うべきか。何を伝えるべきか。僅かな時間の中で考え、それは叫んだ。
『絶対に、俺はお前を食ってやるからな! 何があっても、どんなことがあってもだァァ!』
その叫びに、少女は笑った。ちょっと嬉しそうに、だけどとても悲しそうに。
もう叶わないとわかりつつも、少女は涙を拭いながら『うん』と頷いた。
『約束、だよ』
それはそれは、おとぎ話として語られるほど前の出来事。
かつて神と人が共に暮らしていたとされる時代だ。
その時代の終わり、一人の聖人と呼ばれる少女と悪魔と呼ばれた存在の約束があった。
神がいなくなり、人が主役となった時代。
止まっていた運命の歯車が動き出す。
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