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◆◇◆◇◆◇◆
「わぁー」
通路を突き進み、部屋を二つ三つと越えていくこと十数分。三人は廃墟の最深部へと辿り着いた。
屋根が壊れているのか、太陽の光が差し込んでいる。その光を浴びるように、一つの白い石像が立っていた。
女性を模った石像。しかしその頭は欠けており、どんな顔をしているのかわからない。頭のない首からぶら下がっている何かがあった。
それは銀色に輝くロザリオ。弱々しく吹き込む風のためか小さく揺れている。崩れた天井から差し込む太陽の光を反射しているためか、キラキラと輝いていた。
銀のロザリオから放たれる不思議な魅力に、マオとミーシャはそれに目を輝かせる。
「本当にあったー」
「きれいー」
マオとミーシャは「欲しいー」とそろって声を放つ。しかしルルクはというと、銀のロザリオに興味がないのか大きなため息を溢していた。
「ねぇ、もう帰ろうよ。こんなところでモンスターに襲われたらひとたまりもないよ」
「ロマンないことを言わないの! せっかくここまで来たんだから、持って帰るからねっ」
「えー! あんな高い所にあるの、どうやって取るんだよ!?」
「それは……、マオお姉ちゃんどうしよう?」
話を振られてマオは困った。噂を確かめるためにやってきたのだが、持って帰るなんてことは想定していなかった。うーん、と悩ましい声を上げて頭を傾げる。
二人に肩車してもらって銀のロザリオを取るのは難しい。かといって自分達の力で女神像を倒すのも厳しいだろう。
腕を組み、考えるマオ。だが、どんなに頭を捻ってもいい案は浮かばなかった。
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