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「キャア!」
マオが頭を困らせているその時だった。何かがミーシャの身体にまとわりついた。
ミーシャの悲鳴に気づき、反射的に目を向ける。するとそこには奇妙なスライムがいた。
「ヅカマエダッ」
真っ黒なスライムは、驚いたことに言葉を放った。
思いもしないことにマオは言葉を失い、ルルクはというと目を輝かせていた。
「ゲヘヘッ、いい生贄が手にハイッタ。これでサタンサマがヨミガエル」
「ちょ、何するのよ! この、離せ!」
「活きのいいイケニエだ。だが、少し元気がありすぎる」
懸命に暴れるミーシャ。奇妙なスライムはそんなミーシャの首筋に噛み付いた。
途端にミーシャはおとなしくなり、静かに目を閉じてしまった。
「ミーシャ!」
マオは思わず叫んでしまった。ミーシャを助けるために奇妙なスライムに飛びかかる。
「マオ!」
無鉄砲な行動をしたマオを守るために、ルルクは持っていた本を開く。咄嗟に「マオを守れっ」と叫ぶと、仄かに輝く光がマオの身体に宿った。
「モウ一匹ィィ!」
叫び声を上げ、奇妙なスライムは牙を剥き出しにしてマオへと飛びかかる。
あまりのスピードの速さに反応できないマオは、簡単に懐に入られてしまう。
「ガァ!」
奇妙なスライムがマオの首筋に噛み付こうとした瞬間、宿った光がその牙を砕いた。
思いもしなかったことか、奇妙なスライムは悲鳴を上げる。
だが、すぐに体勢を立て直してマオの身体を弾き飛ばした。
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