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「あぅッ」
奇妙なスライムに攻撃を受け、石像へと転がっていく。
マオはそのまま背中を打ち付け、意識が飛びそうになった。
だが、ルルクの叫び声がマオの意識を繋ぎ止める。
「マオ!」
不安そうで、心配げな声だった。
もしここで気絶してしまったら、ミーシャだけでなくルルクも危険な目に合ってしまう。
そうなるとどんなひどい目に合うかわからない。
そんなの、マオは嫌だった。
「ゲゲゲッ、お前もいい贄にナリそうだ!」
マオを守るためにルルクは奇妙なスライムと対峙する。
不安げな顔をしながら唾を飲み込み、ルルクは睨みつける。
しかし、そんな弱々しい威嚇を奇妙なスライムは笑った。
「ルルク……」
直感的にわかっている。このままじゃあ、ルルクが危ない。
だが、身体が動かない。
恐怖からなのか、痛みからなのか、わからなかった。
だからだろうか。
ルルクの身体も、マオと同じように震えていた。
「こんなの、嫌だ」
目の前で、友達が犠牲になる。
そんな光景は見たくない。
誰でもいい、いや力を貸してくれるなら何でもよかった。
ルルクを、ミーシャを、助けてとマオは願った。
それは神様にとってたいしたことがない願いだったかもしれない。
しかしその小さな願いを叶えるには、大きな意味となる。
だから神様は手を貸さない。
小さな祈りを見て見ぬふりをした。
代わりに、対極的な存在が嗤っていた。
「――――」
何かが、手に当たった。
目を向けるとそこには銀色に輝くロザリオがある。
『願いを叶えてやる』
身体がぶつかった衝撃で落ちたのか、それとも違う要因があったのか。
しかし、今はそんなことどうでもいい。
必死に、頭の中に響く声に意識を集中させた。
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