生者を犠牲に死者を甦らせるおぞましき風習

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「還(かえ)り御前とは、死者に新な肉体を与え生を授ける道を通す。  そしてその死者 の身代わりとなって、あの世に還ってくれる尊き女性(御前)の  こと」  「俺は恋人をよみがえらせたい…よって妻には還り御前となってもらう」 話は長くなるため、ここからはまとめて書く。 wには同じ集落に想い合う女性がいたが、台風の川の氾濫による事故で亡くなった。 事実を認められないwと女性の家族は、隠し風習を行うことを決める。 儀式には「還り御前」になる女性が必要だが、誰でもなれるわけではない。 やはり、条件はある。 まず、死者と生年月日が同じであること。 そして、意思が弱く依存性があり、否定的な思考を持つこと。 この性格の人は「守り」が弱く、身代わりにしやすいそう。 上記すべてに適合したのが、今の奥様であった。 もちろん、その事実は伝えてはいないそうだ。 儀式は、決められている日時で五日間に渡り取り行われる。 厳しい掟と作法で進められ、わずかな間違も許されない。 その家は初日に屋敷全体を飾りで囲んで、儀式を始めることを周囲に伝える。そして、 「還り御前」の女性も、口にするもの、身に着けるものもしっかりと決められており、 神域と定められた部屋で過ごす。 その間、集落の人々から尊い者として崇められもてなされるのだが、誰とも口をきく ことはできない。 大雑把に説明したがこれ以上の内容は、私の判断で書かないことにする。
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