楽屋

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楽屋

楽屋に入ると、アランが言った。 「終わったー。おれ、マジ、ヤバイ。」 そう言っていきなり倒れた。ケイトは動ずることなく、彼の唇に水を浸し、少しづつのませた。 アレックスが失神しているアランをチェックし、ケイトからボトルを受け取り、アランの顔に水を少しづつ垂らして、呪文のように繰り返し言った。 「戻れ、アラン。」 アランはすぐに息を吹き返した。 「またか、、僕って。、、、やめてよ、これ、水?」 ケイトがタオルを渡した。 アレックスが言った。 「意外と原始的方法がきいたね。また経験値が増えた。みんな覚えといてね。」 アランは壁にもたれて、水を飲み、肩で息をしていた。 「もう、こういうのは僕はやりたくない。」 ポールは彼を抱え起こし、みな無言で、粛々とテレビ局の地下駐車場にとめてあるバンに向かった。 車に乗るとポールは言った。 「わかった、カイルに言っとく。2度とやらせない。悪かった、僕が止められなくて。」 カイルからポールに携帯が掛かってきた。 「ポール? やったね。ライブ見た。よかったじゃない。行けなくてごめん。それでアランは大丈夫?」 「カイル、まあインタビューは普通にうまくいったけど。もうやらない。アランが拒絶反応だ。」 「倒れた?」 「うん、今は戻ったけど。」 カイルは電話の向こうで瞬く無言だった。 ポールが言った。 「カイル、もうやらないよ。彼は嫌なことやると、こんな風になるのがわかった。」 カイルがおもむろに言った。 「悪かった。僕も懸念していたんだけど、、、ボスがね、副社長のイアンがね、アランにこの壁を乗り越えさせろというから。そうか、今度は僕が盾になる。」 「頼むよ。」 「アラン、今話せる?」 ポールは携帯をアランに渡した。 「よう、カイル。」 「悪かった。謝る。もうさせない。僕の責任だ。」 「僕は、インタビューはうまくやったよ。内容はともかく。終わった後、リアクションが来て。もうこんなのやりたくない。」 「そうだね。アラン、、、いい知らせを教えようか?凄い視聴率だ。そしてSNSで沸騰中。たぶん明日Youtubeでもそうなるだろう。君は犠牲になったけど、プロモは大成功だ。」
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