始まり。

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彼は私より5つ歳上。早くに結婚をし子供が居た。もうすぐ2歳になる男の子。仕事の時もよく子供の話をしていた。 一度だけ彼の子供とお嫁さんに会ったことがある。近所の小さな夏祭り。来たばかりの私と入れ替わりに帰る所だった彼と彼のお嫁さんと子供。嫁さんに抱っこされていた子供は、彼によく似ていて、手を振ると振り返してくれる仕草が愛らしかった。 お嫁さんも愛想の良い女の人で、彼とは同級生だったという。幸せそうな家族。私には無いものを持っていて、理想がそこにあるようで羨ましくも若くしてその幸せを掴んだ彼を尊敬した。 だからこそ「寮に住むことになった」という報告に耳を疑いざるを得なかったのだ。
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