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「でーきたっ!私、先生に見せてくるね」
「印刷もできたらしてきちゃうね」
橙子と紫音が部室を出て行った。翠は椅子に座って本を読み始めている。先輩たちはもうみんな帰ってしまった。人数が少ないと、部室はこんなにも広く感じるものなのか。窓から少しだけ見えるグラウンドでは、野球部が後片付けをし始めている。
「男の子、入ってくれるといいね」
何気なく、そんな言葉がもれた。小さいころから知っている翠がこの部活に入ってくれたのは嬉しかったのだが、他に男子がいないと気にかかることもあるのではないかと心配だった。
「うん。瑠璃…ありがとう」
そう言って一瞬上げた視線をまた本へ戻した。
「ただいまー!オッケーもらって印刷してきた!」
「職員室にいた先生たち、いっぱいいーっぱいほめてくれたんだよ」
2人の手にはたくさん印刷されたビラが抱えられていた。
「ありがとね。いよいよ明日だよ、がんばろうね」
明日の健闘を祈って、解散。辺りはもう暗くなり始めていた。
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