216人が本棚に入れています
本棚に追加
まだ私が小さかったころの、ある夏の日に祖母が歌ってくれた歌を思い出す。昨日の夢は、祖母が私にその歌を歌っているときのものだった。祖母が何かを伝えるために私に見せた夢なのか、当時を懐かしく思った私が無意識にこの夢を作り出したのかはわからない。足元ではすやすやと眠りについているニュクスの呼吸が少しくすぐったい。
夢の中で祖母に会う時の私は、いつだってあの小さかったころの姿。祖母はあの頃と変わらずに、優しく温かい笑顔で教えてくれる。光のしずくの捕まえ方も、海のゆらめきの集め方も、夢の中の小さな私に手取り足取り教えてくれた。初めてそれを、現実のこの世界でひとり試した時は本当に驚いたのをよく覚えている。
信じることは難しい、それでも信じることができるのなら、何かがあなたの手の届くものになるかもしれないの。母が口癖のように私によく言っていたこの言葉は、祖母から受け継いだ言葉だったそうだ。母も祖父も、祖母がこんな不思議なことをしていたことを知っていたのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!