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「そうですね。特に、夏の夜は優しい良いものに感じて…って思わず瑠璃先輩みたいなこと言っちゃいましたよ。なんてこと言わせるんですか、もう」
もしかして、藍斗くんのこの軽口も照れ隠しだったりして。
坂を下ってあの大きな木の前につくと、何も言わずともお互い立ち止まってカロンのほうを見つめる。遠くてかすかにしか見えないけれど、ぼんやりと浮かぶ明かりが間違いなくそこにあることを知らせてくれる。
「明日、『カロンに行こう』」
自然とハモってしまったことに驚いた私たちは、顔を見合わせて笑った。
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