光源

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 予想外に素敵な被写体に出会って夢中でシャッターを切る1年生たちを見て、私も今度自分で撮りに来たいなあと考えていると、 「今度、撮りに来てもいいですか?かわいいもの大好きなんです」  ガラスでできた小さなうさぎを手に乗せながら、紫音がおじいさんに尋ねていた。みんな気持ちは同じだったらしい。 「またおいで。遊びに来てくれると、私もこいつらもうれしいよ」  4人で顔を見合わせて喜びを噛みしめる。そろそろ店を出ようと思ってお礼を言うと、おじいさんは何かを思い出したように「そこの4人さん、ちょっと手伝ってくれないか」と言って私たちを店の奥へ連れていった。大きな戸棚から出した箱を開けると、30センチほどの大きさのランプが現れた。 「気分がいいから、君たちに特別に見せてあげようと思ってね」  ドアだけでなくカーテンも閉めたおじいさんが、「これは撮影禁止だよ」と言ってランプに火を灯すと、真っ黒に見えたそのガラスは綺麗な濃紺のグラデーションに変わり、金や銀の星が浮かび上がって見えた。息を飲むほどの美しさだった。 「これ…アンドロメダ座ですか?」  おじいさんが驚いて声の主の方を見る。翠が星を指差し、そう言っていた。 「すごいね、一発でわかった人はお兄ちゃんが2人目だよ」  ここがそうなんだよ、というおじいさんの説明を聞いていると気になることが出てきた。
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