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放課後になり、第二校舎へ向かう。古い床が歩くたびに音を立てる。階段を上った一番奥が写真部の部室だ。木のドアを開けようとすると、まだ誰も来ていないようで鍵がかかっていた。鍵、どこに入れたっけと考えながらバッグを覗いていると、
「あ、鍵…開けるよ」
聞きなれた声がした。
「翠、ありがと」
幼馴染の翠は写真部唯一の男子だ。口数が少なく物静かな彼は、図書室の守り人と呼ばれるほど本が好き。比較的自由に活動することができるからという理由で入部している。さすがにここ数日は部登録のこともあるから顔を出してくれることが多い。
「聞いてー!先輩たち、今日課外なんだって」
そう言いながら橙子が入ってきた。
「私たちで準備頑張らないとね。キャンディー配るなんてどうかなあ?」
橙子の陰からひょこっと出てきて優しく笑う彼女は紫音。小さくてかわいらしい見た目にふわふわしている言動、しかし成績は学年トップクラスというギャップを持つ。きれいな空を撮ることが趣味らしく、カメラに詳しい。
「キャンディーはちょっとうちの部らしくはないかなあ」
「えー、瑠璃ちゃんまでそんなこと言うの?」
紫音が首をかしげながら別案を考えている様子を見て、昨日のことを思い出した。
「あのさ、例年最初の活動が歓迎会のカラオケでしょ。それよりも先に、勧誘期間中に撮影体験するなんてどうかな」
「うちの写真部って地味で活動してるかもわからないって言われがちだもんねー。こんなに愉快な先輩たちが待っているっていうのにさー。確かに実際に体験してもらえば私みたいな子がくるかもしれないね」
橙子が口をとがらせつつあれこれ言っていると、めずらしく翠が口を開いた。
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