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事件の後、学校の人気と偏差値が落ちたことは事実だ。
自分がしでかしたことの波紋のひとつを目の当たりにして、胸が痛む。
内山はグラウンドの真ん中をゆっくりと進んだ。かつて3年間踏みしめたグラウンドの土は、スーツに革靴で歩くと全く別のもののようだ。
グラウンドの中ほどで、振り返って校舎を仰ぎ見る。コの字を倒したような横長の長方形。あのころ、ここから左端の最上階を何度こうして見上げただろう。
こうして見ると、あの教室も、あのころと何も変わっていないのに。
あのころ。
好きなやつがいた。
初恋なんかじゃなかったのに、どうしていいかわからず、泣かせて、傷つけて、死ぬほど傷つけて……
ただ、好きだったのにーー
当時の思いがあふれ出し、ぎゅっと胸が締めつけられた。
「内山ぁ――!」
突然懐かしい声に呼ばれて、彼は一瞬、自分がまだユニフォームを着てグラウンドに立っているような錯覚に陥った。
声は野球部の方からだ。
左を見ると、散らばった野球部員たちの向こうに、青いジャージ姿のやや小柄な男が手を振っている。
野球部顧問の菅だった。
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