[三段目]Appasionato(アパショナート)激しい感情をもって。

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 その頃。 日本国内は、大きな政権交代の波に飲まれようとしていた。 現与党である民主自由党は、閣僚達の黒い疑惑に依って、国民の支持率を失い、内閣総辞職の窮地に立たされている。 …そこに台頭してきたのが、野党第一党の『日本真党』だ。  虎視眈々と次期総理大臣の座を狙う、日真党の総裁・福武善次郎(ふくたけぜんじろう)は、京都市で起きている異変の数々に、自身の勝利が目前に迫っている事を確信していた。  彼の正体は、鈴掛行者である。 将来有望な政治家でありながら、紅青を崇拝する邪宗一門の幹部だ。 その名を《八曜(はちよう)》──。 紅青と同郷の旧・白根村に生まれた、白児の混血である。 有能な政治家を育て、日本の中枢に送り込む事に依って、紅青は、国内を政治的な面でも掌握しようとしていたのである。  暗雲立ち込める日本──そして。 この後、更なる激震が永田町を襲う。 現総理大臣を務める澤田首相が、心筋梗塞により突然死するのである。紅青が放った毒矢は、確実に、このクニの息の根を止めようとしていた。
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