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その二日後──。
二人の男が、六星一座の本陣『美翠楼』を訪れた。警視庁特殊班5係の刑事、後村貴志と藤倉健介である。
客間に通された二人を迎えたのは、《土の星》の当主・向坂紫だった。対座するなり、鷹揚に胡座を掻いて後村に訊ねる。
「──で?」
「で?って、お前な…」
「何の用?? 俺も暇じゃないんだけど。」
面倒臭そうに問われて、後村はムッと眉間を皺立てた。
「おい、何の用とは随分じゃねえか。感動の再会だろ?少しは愛想良く出来ねぇのかよ??」
「後村さん、そんな喧嘩腰で… 」
冷や汗を掻きながら咎める健介に、紫は無表情な美貌を向けて言った。
「相変わらず下品なアトムは、ともかくとして──ケンケン?マイちゃんから聞いたよ、『エラー』だって?? 何それ、アンタって特異体質なの??」
「ぁ…いや、俺にも良く解らなくて…」
「だろうね。」
「──。」
鰾膠も無く切り捨てられて、健介は片頬を引き攣らせる。紫は、頗る不機嫌だった。
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