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避妊薬をアキラに売って金を手に入れたリクも立ち上がって地下通路の闇に消えた。
「アキラもリクも一緒にいれたらいいのにね」
阿朱里は側に寄ってきたハクの頭を撫でた。
確かに、
寝ぐらを決して共にせず、
互いの情報は最低限に留め、生活に伴う必需品をわずかな接触で補い合うだけの暮らしは寂し過ぎた。
ハクを養ってる間は自由に動けず、気配には一層気を付けなければならなかったが、
それでも会話する相手が常にいて、頼られながら生活する事は、『何故生きてるのか』という阿朱里が抱える疑問に、少なからず当面の答えを与えていた。
今日リクと出掛けたのは本当に特別なことで、
今後、リスクを犯して仲間と陽の下に出ることは後にも先にも無いだろうと思った。
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