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やがて遺体は引き上げられ、足下の芝生の上にうつ伏せにされて伸びきった。
阿朱里はアキラが着けてたはずのプロテクターが遺体の首から無くなっており、白く浮かんだ首後ろにある遊びで付けられた傷を見ると、
するすると柱を降りて地下に戻った。
歩道の段差にある排水口からは見物人の言葉が聞こえる。
『闇宿にいた子だそうだ。
昨夜管理局の一斉捜査が入ったって。
宿から逃げ出したところを襲われたらしい』
『あんなとこさっさと無くすべきだったのよ』
『発情してたらしいぜ』
『なら事故みたいなもんか』
発情中のオメガが強姦される事に誰も罪の意識など持ってはいない。
オメガ同士であっても半ば、
『仕方ない』
と、思っているのだ。
「アシュリ、、、」
拠り所を探るように伸びてきた柔らかいハクの手を、阿朱里は黙ったまま握りしめた。
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