Mate

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が、 「お待ち下さい首長」 伝言を持ち込んだ前園ですら、さすがに黙っていられなくなり、 「確かにアシュリ君は一見しただけでロイヤルオメガに相応しい要件を揃えているかとは思います。 ですが、何も候補は彼だけではありません」 「他に誰がいる?」 「一昨年に初代ロイヤルオメガがお産みになったオメガ種のご子息が、、、」 「バカな。生まれてたった二年の子供が発情期を迎えるまであと何年かかると思っているんだ。 次期ロイヤルオメガ、司法省長の番に相応しいのはここにいるアシュリだけだ」 「しかし彼は鷹堂次官の、」 「前園」 澁澤は手を上げ、前園がそれ以上話すのを制した。 「いいか、今現在センターに収容されている数百人の将来が、このアシュリにかかっている。 オメガ種の中でも極少数にだけ与えられた 27の身体的特徴を持っている時点でこの者は仲間の為に犠牲となる運命だ」 阿朱里の視線を遮り、息も継がずに言いきった澁澤であったが、前園はその上司を壁際に追いやり、阿朱里には聞こえぬよう声を()し殺して言った。 「そうです、そうなのですがアシュリ君に限っては、すでにメイトがいる可能性があるではないですか、しかもごく身近に(・・・・・)」 「我々に通知の義務はない」 「法を優先し、今は秘匿したとしても メイトの誘引フェロモンは大変強いものです。 いずれはアシュリ君にもメイトが誰なのか わかる日が来ます」 「わかったところで何だ? アシュリがロイヤルオメガと認定された時点で番を選ぶ選択肢はない」 「ですが、、、 では、せめて確定だけでも。 認定前に血液検査による照合をし、、、」 「無用だ」 「澁澤首長っ」
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