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「五秒だけ」
「更衣室に侵入したところで終わりじゃねえかよ……っ!」
新作ゲームの体験版にも引けをとらない所業だった。そこからがいいところなのに、この続きは製品版でと打ち切られる悲しみといったら……。高校生なので気軽に買えんし……。
歓喜をしてしまったせいで、膝から崩れ落ちる。五秒時間が止まったところでどうしろというのだ。そんなの、せいぜいパンツを拝むくらいしかできないではないか。パンツで満足できるほど、今の高校生は純情ではない。
「これだけでも世紀の発明なのに、そんな反応をしてくれるのはよっくんだけっすよ。五秒だけでも十分な時間と思うんすけど、どうっすか? つけてみません?」
「確かにパンツを見るだけなら十分な時間だけどよ……。お前が俺にそう言うってことは、まだ試作段階なんだろ? 今回はどんな問題点があるんだよ」
彩江が、制服の上から羽織っている白衣のポケットからコンタクトケースを取り出した。新たな発明品だというケースを開き中に入っていたレンズを手に取ってみる。縁が黒く塗られたお目目ぱっちりタイプのようだが、それ以外特筆するようなものは何もない。
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