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全体像を眺めながらツッコむ。
目の前にいるのは、癖っ毛でぼさぼさのロングヘアーに分厚いぐるぐる眼鏡。制服の上から羽織ったよれよれの白衣。外に出る時間の方が少ないおかげでかろうじて肌が綺麗なだけで、女子力は欠片もない。本物のうら若きJKというのは、もっとキラキラしているものだ。
俺が言うと、彩江は頬を膨らませながら俺のことを睨み返してくる。
「つべこべ言わずにこれをつけて、ウチを見ろー!」
やがて爆発したように叫んだ。こうなった時の彩江は面倒くさい。最終的にはクロロホルムを吸わせて無理やりということも考えられるので、俺は強引な彼女に違和感を抱きながらも、諦めて要求を呑むことにした。
「ちなみに、コンタクトをつけただけでは時間は停まらないっす。つけた後、停まれと言って下さい。そうすると、音声を認証してその後の五秒間景色が停まって見えます。それが過ぎたら、元通りに動き始めます。一応その状態はコンタクトをつけていればいつでも発動するようになっていますが、セーフティ機能として、使用後十分間は停まれと言っても発動はしません。脳が溶けないようにね」
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