1.オブジェクト=実行

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ソフトを立ち上げて、ソースを見るともなく見ていると、バスルームから出てきた上総が、私も一服させて、と言う。 「ん。」 灰皿と付け替え用の煙草を差し出す。 本体は同じものなので、加熱のための動作をして、上総も一服している。 「何してんの?」 「ソース、見てた。」 上総がパソコン画面を見て、微妙な顔をしている。 まあ、大体、誰しもこのような反応なので、宮原も、今更驚くようなことはない。 「仕事?」 「いや。」 「好きなのね。」 「そうだな。」 「じゃ、帰るね。」 「うん。」 事が終わると上総は、帰るね、と帰っていく。 こんな関係が始まったのは…1年くらい前だろうか。 今の会社に入ったのは2年ほど前のことだ。 一般的には、システムエンジニアは、システムを作成する会社に所属するなどして、依頼された仕事を請け負う、のが普通だ。 エンジニアを抱えるような会社は余程規模の大きいところか、IT関連の会社でもない限り余り、聞かない。 けれど、請負の仕事はどうしても職場が転々とする。 ある意味エンジニアの宿命ではあるのだが、少し落ち着きたくなった。 そんな折に、この会社での求人を見つけた。 業務の内容はプログラマーの募集ではないのか、と思ったら、会社の過渡期に向けて様々なシステムを作っていきたい、やはり、システムエンジニアが必要だ、と言われ、決めた。
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