4.ファシリティマネジメント

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そんな表情に、胸を掴まれたこともあった。 確かに。 けれど…相変わらずなのね。 上総はその場で足を止める。 「転勤したんでしょ?聞いたわ。」 「それだけではなくて。上総。」 切なげな表情で腕を掴まれる。 「俺、別れたから。今、一人なんだよ。だから、もう一度、やり直したい。やっぱり、上総が一番好きなんだ。」 「……。」 言わなきゃ、分からないんだろうか。 「私には、もう、終わったことなのよ?」 怒るでも、声を荒らげるでもなく、淡々と伝える。 「お願い。もう一度チャンスをくれないか?」 上総は柔らかく笑った。 「ダメよ。」 するりと、背を向けると、すこし、しょぼん、としながら上総の後を付いてくる。 バスに乗っても、周は距離を離れて、付いてきていた。 どうしたのだろうか? そこまでするような人ではない。 上総はくるり、と振り返った。 「どうしたの?」 首を傾げて、彼は笑う。 「なんでかなぁ…。」 上総は自宅前の公園のベンチに彼を連れていき、温かい缶コーヒーを買ってきた。 それを渡して、隣に座る。 「こんなこと、する人じゃなかったでしょ?」 「上総には…、すごくカッコつけていたからな。いい男じゃないと、お前には似合わないって思っていたから。今もそう思っているけど。」     
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